泉輪 平成20年度秋彼岸会にむけて


すばらしい命

 とある檀家様のお子様から、
「和尚さん、普段は どんな恰好しているの?」
と聞かれ、普段の様子を知るそのお子様のお母様が、
「普通の恰好よ。」と説明すると、
「想像つかん、不思議!」と言われたそうです。

 なるほど、法要でしかお会いできない方や、
遠方にて普段の私どもの生活を垣間見られない方には、
不思議の何者でもないことでしょう。
いささか、暴露致しますと、夫婦喧嘩もし、
子育てにも悩む、俗物そのものです。

 仏教に「不思議」の同義語で
「不可思議」という言葉もあります。
これは一般的な考え、理屈では理解出来ないことを
意味しています。

 さらに「摩訶不思議」という言葉もあります。
摩訶は、大いなる、非常にといった意味で、
摩訶不思議とは、
とても不思議だという意味になります。

 しかし、奇怪な不思議さを言うのではなく、
人の考え、理屈を超えた、
すばらしさを表現する言葉であります。
まさに自然や季節などの姿は
「摩訶不思議」でありましょう。
さらに、私たち人間にとって
自然や季節の不思議さ以上に摩訶不思議なのが、
命であり、心であると思います。

 ですから、命の尊さを感じることのできる
豊かな心を育てることが、
大切だと思われますが、
 それは理屈で教えられるものではなく、
普段のごく当たり前な生活の中から
正しい教えを手本とし、
日々の体験、生き方を通して、感じ得るものです。

 摩訶不思議な自然界の中で
奇跡的な一瞬を生かされていることを忘れず、
日々の生活の中で、与えられたすばらしい命を
精一杯活かしていきたいものです。
                    輝空談