泉輪 平成21年度秋彼岸会にむけて

お彼岸とは

残暑厳しい折、
秋のお彼岸がこようとしております。
本日は、お彼岸についてお話致します。

お彼岸はご存知のとおり
彼方(かなた)の岸と書きますが、
彼方の岸とはどこでしょうか。
彼方の岸とは、
極楽お浄土(あの世)のことでございます。
それに対して、
我々が生きているこちら側の岸(この世)を、
此岸(しがん)と申します。

では、なぜ一年に二回、
春と秋に彼岸法要が営まれるのでしょうか。
お彼岸は七日間営まれますが、
その中日の春分の日と秋分の日は、
昼と夜の時間が同じで、
仏教意義のたゆまなく平等と言う精神に通じ、
また、その日の太陽は、
真東から昇り、真西へ沈む動きが、
仏教定義の西方極楽浄土を求める精神と
通じるからです。

更に、なぜ七日間も営まれるのでしょうか。
これは、六波羅蜜(ろくはらみつ)という
人間が正しく生きる徳目が関係致します。

六波羅蜜とは、
一、布施(ふせ) 
   安らぎの心と財産を分かち合う事
二、持戒(じかい) 
   常に反省する事
三、忍辱(にんにく)
   苦しみから逃れることなく耐え忍ぶ事
四、精進(しょうじん)
   何事にも絶え間ない努力をする事
五、禅定(ぜんじょう)
   心静かに平常心を保つ事
六、智慧(ちえ)
   仏様に生かされていることに感謝する事

上記の精神を基に、お彼岸の

一日目は、
  人のために惜しみなく
  尽くそうという日です。 
二日目は、
  自己を見つめ直す時間に使います。
三日目は、
  悲しいこと、辛いことなんて
  誰にだってあるのだから、
  人のせいにせず頑張ろうと、
  心新たにする日です。
四日目は、
  お中日でお寺・お墓のお参りをして、
  ご先祖様の「み霊」の安穏を願う日です。
五日目は、
  与えられた事に真剣に取組み、
  努力する日です。
六日目は、
  心を落ち着かせ、
  本来の自分を取り戻す日です。
七日目は、
  今生かされている仏様のお導きの
  すべてに感謝する日です。

このようにして、
人間のあるべき本来の姿を探究し、
自己の成長を促すようにしていけば、
自然と今の自分の良さや反省点が見出せ、
次の人生目標が見えてまいります。
と同時に、
自分ひとりの人生に多くの人が関わり、
助けられていることに気づかされます。
そして真の感謝から仏心が生まれるのです。
今の世の中は忙しく、
殺伐としているからこそ、
お彼岸の七日間だけは、
此岸の自己を見つめ、
彼岸のご先祖様を見つめ、
精神の啓発をしてみてはいかがでしょうか。

きっとあなたにしか見つけられない
大切な何かを発見出来るはずです。
そんな、ありがたいお彼岸に、
念仏せずにはいられない気持ちに
して下さる仏縁に
十念感謝でございます。
             輝空談