泉輪 平成27年10月



慈悲の輝き


この度の関東・東北豪雨に於きまして、尊いお命を失われた方やそのご親族の皆様には心よりお悔やみを申し上げます。また、家屋を失われた方や、甚大な水害を受けられた皆様にお見舞い申し上げますと共に、少しでも早く復興できますことを祈念申し上げます。

右記の記述の関東・東北豪雨は皆様もニュース等でお分かりのとおり、想像を超える甚大な被害が出ました。堤防を決壊させるほどの水量と水圧は、川の水という表現では済まされず、まるで四年前の東日本大震災の津波の映像を彷彿させるようなものでした。
被災者の方には、東日本大震災とこの度の水害と、二重三重の被害を受けられた方もおられるとのことで、何とも言い難い苦しみなのだろうかと、ご心中察するばかりでございます。

人生の先輩方である長老者が、この豪雨被害に合わせて口々にされる、遠賀川の堤防決壊、山の堤の決壊と過去の出来事を聞いておりますと、やはりあらゆる自然被害の中で、水害は復興への道が一番険しいと思えてなりません。
どうぞお体ご自愛頂き、我々個人と行政と、多くの支援の元、勇気と気力で乗り越えて頂きたいと願うばかりでございます。

そもそも、地球上の民族は生きる上でなくてはならない水を、水害や土砂災害などの危険性を制御しようとする「治水・ちすい」と、もう一方で水を資源として使用するための「利水・りすい」と相反する事への知恵比べで文明は発達してき たと言われております。

とりわけ日本は国土が狭く、その上、急峻な地形が多いため、川は常に洪水が発生しやすい条件を備えております。それに加え、近代化に伴い山肌を削り、平野部はアスファルトで塗り固められたため、土壌に水を「保水・ほすい」する能力が極まりなく減少しているのです。
おまけに温暖化に伴う集中的なゲリラ豪雨で推測不可能な異常事態にまでなっているのですから、ここまでくると河川の管理責任である行政がしっかり活動してもらわなければ、一般市民の安全は保障どころか安全が皆無に近いのが現実ではないでしょうか。

報道である専門家が、現在の自然変動に耐えうる河川工事を完了するには数百年の時間を要す、と話されておりました。また、同時に別の報道番組では、火星に水があるのではと、新事実の報道がされておりました。
私のような愚者は、地球の水対策が万全を期していないのに、よその惑星の水など二の次ではと安直に考えてしまいました。

そしたら今度は、日本人がノーベル物理学賞を受賞したと報道されました。その権威ある研究が、ニュートリノの重さについてと何度聞いても理解できない内容でした。理解できない中でも一番驚いたのが、その素粒子たるニュートリノという物質が、私たちの体を通過し、地球までも通過する物質とSF映画のようなことが記されておりました。
体を通り抜けできるとは、透明人間、いやお化け、等と自分が理解できるもので間接的に例えてみますが、やはり分かりません。新聞に分かりやすい解説と銘打った記事も何度も読みましたが、さっぱり分かりませんでした。ただ、体や地球を通過する無限のものとして「人間の魂」と似て取れなくもなく、この先、科学がもっと進むと、命や魂の証明などが出来るようになるのでしょうか。

されどやはり私ども仏教徒は、科学が進み火星も素粒子・ニュートリノも更に解明されようと、仏教は証明という現実表明ではなく、見えないけれどあるだろう、あるから信じよう、信じるから救われている、その仏様のお慈悲が見えないことにより、心が育まれていることがありがたい、とそう思うのです。
震災に見舞われました皆様も、今心配事を抱えている方も、今のご苦労が仏様のお浄土への約束の印、と信じ、一歩ずつ前へ進まれて下さい。その道のりがあるからこそ、魂の光が増していることをお感じ頂けると存じます。

合掌
輝空談