泉輪 平成28年8月



若者へエール


暑い盛りになりました。今年も異常気象による猛暑とのことですから、皆様には十分な熱中症対策と体調管理をお願い致します。
 そしてこの夏は、気温による暑さもさることながら、政治の世界も暑さ(熱さ)を帯びております。ご存じのとおり、今年六月から公職選挙法改正施行により、選挙権年齢が二十歳から十八歳以上へと引き下げられました。この法案施行により、高齢化していた投票年齢層の若返りと共に、若い意見の闊達さによる政治意識の活性化を望むところではあります。政治のことに関しましては、各々の考えもあるので選挙権年齢の引き下げについては賛否両論あることでしょうが、若者が政治を真剣に考え、国づくりを自分目線で意識することは大変望ましいことと思います。
 ただ心配することは、若者が人生経験の少なさから偏った活動になることを懸念致します。集団は個人では成し得ぬことを、時としてとてつもないエネルギーを生み出すことがございます。それが集団によく見られる集団心理です。一人一人は純粋な志を持ち、冷静な判断をしてよい働きをしているときはいいのですが、集団化したときに、誤った情報、集団内の感情の入り乱れが増長されると、いとも簡単に集団全体が本来の目的や方向性から外れてしまう事があるのです。

その最も端的な例が、「IS・イスラム国」等に代表される過激派組織でしょう。その昔、紛争地帯の定義は、貧困から抜け出せず、学業の場を得ることが出来なかった若者が、生きるために戦闘員になることがしばし見受けられました。しかしバングラデシュで日本人七人が犠牲となった襲撃事件での実行犯の中には、富裕層の家庭環境で、有名な大学に通う学生がいたことに驚愕を覚えました。あくまで報道による情報からですが、大学内でイスラム過激派組織の情報収集をするうちにその思想にのめり込んでしまったということらしいです。
ではそもそも、イスラム教とはどんな宗教なのでしょうか。簡単な説明をしますと、ムハンマドという実在していた人物が開祖で、そののちムハンマドの言葉を後継者たちがまとめたものが、聖典である「コーラン」です。アラビア語で「朗読されるもの」という意味を持つコーランは、アラビア語以外の言語で朗読することが禁じられており、そこに書かれている『六信五行』はイスラム教徒にとって最も大事な信仰箇条と行動規範になっています。しかし、多くのイスラム教徒は熱心な信者として普通の暮らしをしております。では何故、一部のイスラム教集団が過激なテロ集団へと変貌するのでしょうか。
 宗教を語る際に、よく「原理主義」と「世俗主義」という言葉が出てきます。「世俗主義」とは、国が、特定の宗教権力に支配・左右されず、それらから独立しており、個人も宗教の強制から自由であることを指しますが、それとは逆に「原理主義」では、聖典を文字通りに受け取ろうとする態度や、世俗主義に反対する運動や思想を指し、極端な解釈で暴力を持って人、物の全てを破壊してしまいます。身勝手な宗教思想がテロを増幅させている現状はもう周知のことでしょう。グローバル化していく今の社会では、もういつどこでテロと遭遇するかわからないと警鐘する情報も出ております。
 しかし、私たち人間は、個人で生活しているのではなく、常に複数の集団に属して生活をしております。家族、町内、学校、会社、病院や乗り合わせたバスの中も、小さな集団です。

その居合わせた集団の中で、ふさわしい行動と秩序を柔軟に且つ、瞬時に生み出し行動ができるのが日本人の最大の長所であり、世界に誇れる文化だと私は思っております。
更に世界から左記の様な「美徳」も評されております。

一位 規則やマナーを守り秩序を重んじるところ
 二位 時間や約束を守るところ
 三位 几帳面なところ
 四位 協調性に富んでいるところ
 五位 勤勉なところ
 六位 清潔好きなところ
 七位 手先が器用なところ
 八位 繊細な気配りができるところ
 九位 謙虚で奥ゆかしいところ
 十位 「もったいない」精神が根付いているところ

十八歳から選挙にかかわる若者たちよ、君たちがテロ化するなんてこれっぽっちも考えていません。むしろ、君たちに望むことは、右記のような日本人にしかできない最大の人間力を持って、柔軟に対応できる明瞭な判断力を培ってください。もしかしたらこの先、私たち大人が想像もできない社会になるかもしれません。
その時に、過去の経験を多く積んでいる人、人生の先輩である人の話を多く聞いている人、自分のルーツであるご先祖様の生き様をしっかり捉えている人が、冷静な判断を生み出し、鎮静化に努めることが出来るのかもしれません。

 そして、それらを多いに活かして、これからの社会での活躍を祈念いたします。

若者たちの未来を願い合掌
輝空談