泉輪 令和元年10月



今日を機に


独立行政法人国際協力機構にある調査報告がなされていました。

まずは、国際協力機構たるものは何なのかをご説明致します、と申しましても、今回たまたま記述を目に致しました後、慌てて調べたにわか知識のお披露目でございます。

国際協力機構とは、開発途上地域などへの国際協力を実施する独立行政法人で、略称は JICA (ジャイカ)と呼ばれております。 開発途上地域の経済および社会の発展に寄与し,国際協力の促進に目的としているようです。

そこの団体の調査報告として、日本人が家電製品を購入する際、国産志向が顕著との報告がなされておりました。中国やASEAN諸国での生産が増えている「冷蔵庫」と「薄型テレビ」ですが、購入時のメーカーと産地のこだわりを聞いてみると、いずれの品目も、三割以上が「日本メーカーで、かつ国内生産したものを買う」と回答し、「日本メーカーであれば、どこで生産されたものかは重視しないで買う」と合わせると日本メーカー志向は八割以上を占め、未だジャパンブランドは根強い人気を示しているとのことです。その一方で、日本で生産されている家電は三割強しかございませんので、六割以上が日本メーカーであれ、海外メーカーであれ、海外で生産されているということも示されているのです。

ただ、「メイドインジャパン」という文字が付くかつかないかで、信頼度は大きく変わるという事実はある意味、販売商法に歪みをもたらせるものとなった記事が朝日新聞に掲載されました。

「メイドインジャパン」というブランド力を売りにした腕時計を販売しようとした場合、小さな会社の製品だと一万円という価格が相場らしく、日本で生産していては価格が大幅に跳ね上がり、だが中国で生産すれば価格は合うものの、中国産となり、人気が出ず売れないという現実に、その会社は苦肉の策として中国で完全生産し、時計の裏面に「メイドインチャイナ」のシールを貼って日本に持ち込み、日本でそのシールを剥がした後、「メイドインジャパン」の刻印を掘るという、法律ギリギリの販売方法を選択したのです。その選択をした時計メーカーの良し悪しはさておき、この世の中の全ての品物は、見せかけの「メイドインジャパン」なのか本物の「メイドインジャパン」なのか消費者は真実を見抜くことは厳しいでしょう。それが現実なのではないでしょうか。

本当の純国産には、信頼と実績、安心と安全、日本のあらゆるノウハウを練り込んだ日本人らしさの品物であり、日本人として誇れるものなのでしょう。特に家電製品あたりは、選ばれるだけの価値ある技術の粋(すい)の極みなのでしょう。

その記述を読んで、ふと、私はメイドインジャパンの僧侶と言えるのかと、家電的に自分を当てはめてみました。たわいもない空想表現遊びみたいなものでしたが、考えを巡らせてみると、果たして自分は純粋な意味ある宗教者なのか、自分は誇れる僧侶なのか、ついつい重ねて考えてしまいました。家電製品の表現を借りて申すなら、純国産の仏教、日本仏教に携わっている身です。その日本仏教は今どんな現状をたどっているのかまで思い巡らせたのです。

私ども宗派の僧侶は、法然上人の浄土の教えを守り、その届ける助けをし、その故人様との懇情の別れを嘆き悲しむ人が居れば慰め、労わる役を担ってきました。

にもかかわらず、自分の力不足と努力不足は世の中の仏教離れを食い止めることが出来てはいません。心の癒しや苦難の打開の為に寄り添っておられる仏様のお力にすがる意味を世間の皆様にお教え足りないのです。

何んとも突飛な自分の発想により、自分の僧侶としての力の無さを、「国産家電」から突き付けられたのです。

そんな矢先、樹木希林さんの特別番組が放送されました。この世を去ってまもなく一年、今もなお、人々を惹きつけてやまない樹木希林さんに人はどうして心慰められるのでしょうか。修行した僧侶でもなく、コラムやエッセイでメッセージを書くでもなく、詩などで世界観を作るのでもなく、ただその生き様に心打たれるのです。彼女の言葉に「おごらず、人と比べず、面白がって、平気に生きればいい」とつづられていました。それを常に当たり前に生きてこられたから、魅力に溢れるのでしょう。

私ときたら、おごらず(・・謙虚であり続けることは出来ません。)ひとと比べず(・・いつもよそのお寺を羨んでいます。)面白がって(・・どうしようどうしようと悩むだけ悩んで面白がる余裕などありません。)平気に生きればいい(・・後悔にさいなまれ心穏やかにはなれまっせん。)

てことは、全然ダメな僧侶、いえ人間でした。俗物そのものでした。まだまだ修行せねばなりません。謙虚に真摯に生きることに取り組み、自分自身の心を鍛え、器を作らねばなりません。

この様な弱気になったのも、本山修行中の弘円が、たまに眩しいくらい熱く語るので、弟子に追われる焦りなのかもしれません。

この度のいずみは、家電に純国産の意義を教えられ、樹木希林さんの足元にも及ばぬ自分の不甲斐無さを自覚させられ、今日を機に、心新たに精進の気持ちを高める決意をする自分分析でした。

お粗末様でした。

             

ため息一つ 合掌
輝空談