泉輪 平成19年度秋彼岸会



他人の欠点に
   気がつくのは
同じ欠点を自分も
   持っているからだ


 この教えを目にし思い出すことは、
家内が、私と父(家内方)がよく似ていると、
いつも言うことです。
食事の好みや、ものの考え方、ひいては歩く姿まで
そっくりと、いつも言っておりました。

 特に、欠点の話になると、
指摘する事の数はとどまりなく、
その一つ一つが、父と私がすべて同じと言うのです。
飼い犬も飼い主に似るから、
私と父が血の繋がりがなくても、
似るのだと納得するようなしないような
言葉を投げかけられ、
父を見るたび、そんなに似ているかなと、
首をかしげておりました。

 しかし、時間とは不思議なもので、
時と共に、父の存在と私が重なるようになり、
愛情というより、愛着に似た感情を覚え、
父との時間を大切にするようになりました。
そんな父が病に倒れ、先日静かに往生し、
帰らぬ人となりました。

 勿論、悲しみは十分味わいましたが、不思議な事に、
むしろ今まで以上に、心の中での存在が大きくなり、
まるで死という出来事を忘れているような気さえ
致しております。

 こんな気持ちに父がさせてくれたのは、
父の人生が満足のいくものだったからではないかと
思っております。
だからといって、お金が豊だとか、
地位や名誉があったからとかではなく、
父がこの世にもう思い残す事はない、
残った家族に不満や不安がないことを知って、
満足をしていたであろうと思えるからだと思います。

 そして、そんな父から教えられた生きる価値、
人生の無言の教えを共感できたから、
私と父が似てくるのだと達観する事ができました。

 このお彼岸中を、皆様も、
近しい故人様を偲ぶ大切なお時間に使ってみては
如何でしょうか。

    父を偲んで 南無阿弥陀仏
    すべてのご縁に 南無阿弥陀仏
    生かされる感謝に 南無阿弥陀仏

            輝空談