泉輪 平成15年度春彼岸会



『 春のうちに田を耕そう 』

 農夫が秋に収穫を得るために、
まず 「春のうちに田を耕し」、種をまき、
水をかけ、草を取って育てるように、
さとりを求める者は、必ずこの三学を
学ばなければならない。

 農夫がまいた種が今日のうちに芽を出し、
明日中に穂が出て、明後日には刈り入れができる
ようにと願っても、それはできない事のように、
さとりを求める者も、今日のうちに煩悩を離れ、
明日中に執着をなくし、明後日にさとりを得る
というような、不思議は得られるものではない。
種はまかれてから、農夫の辛苦と、
季節の変化を受けて、芽が生じ、
ようやく最後に実を結ぶ。
さとりを得るのもそのように、
戒と心の統一と知恵の三学を修めているうちに
煩悩が滅び、執着が離れ、
ようやくさとりの時が来るのである。

                  南無阿弥陀仏