泉輪 平成21年度春彼岸会



あなたは、この世に生まれし仏様
 あなたを産んだ菩薩の申し子
    母は最も身近な御仏なり
                  詠み人知らず


仏教や宗教などと申しますと、
自分たちの生活からかけ離れていて、
取り立てて身近に感じない、
とお考えかもしれません。

 いえいえ、そうではございません。
あなた御自身が、仏様なのです。
あなたがこの世に生きていることが、
教えそのものなのです。

 この世に生まれて、
長い人生も、短い人生も、はたまた、
楽しいときも、苦しいときも、
その経験を、阿弥陀様に与えられ、
逃れることなく、
生きているそのことがすばらしいのです。

 中には、苦しみに喘ぎ、
神も仏もあったもんじゃないと
嘆かれるかもしれませんが、
苦しみがあるから、その逆の喜びを感じ、
満たされます

 この文章に、頷けますか?それとも、
何をきれいごとばかり並べて、とお感じですか?

 でも、最もよい例が、子育てです。
あなた自身がこの世に生まれたときは、
母親が、命がけで子供を産み、
どんな些細なことでも、
御両親が自分をなげうって、
あなた自身を守り育てて下さいました。

 中には、御両親との縁薄く、
思い出少ない方も居られるやも知れませんが、
それでも誰かれかの愛情を受け、
今日があるはずです。

 人が人を育てる。
これは、どのような経典よりも、
意味深く、教えられ学ばされます。
人生の中で、時に、思うようにいかず、
解決の方法すら見つからないときがあっても、
親御様を念じ、仏様を念じ、導きをこいましょう。
決して、即効性のある解決は促されず、
変化を感じないかもしれませんが、
根気よく精進し、道を開こうと努力し続ければ、
雪が少しずつとけ、
大地にじっくり浸み込む様に、
出口が見えて参ります。

 また、そのあなたの生き様を見た多くの人が、
あなたと同じような苦しみに遭遇しても、
あなたの経験でその人の苦しみを分かち合い、
あなたがその方を励ますことができます。

 だから、あなた御自身が仏様で、
あなたが生きていることが、教えなのです。

 やはり、苦楽のご縁なくして
生きていくことはできません。
すべてのご縁に念仏感謝でございます。 

         合掌礼拝 
 
               輝空照弘