令和6年 春彼岸【臨時】お寺豆知識

阿弥陀様とお釈迦様のあれこれ

 お釈迦様と阿弥陀様のお話しは、様々な仏教神話がございます。確かにお釈迦様はこの世に存在し、生きていた実在の人ですが、遥かかなた昔の出来事を、その人の心理にのっとって今、記述することはかなり難しいことだと言えます。ただ、浄土宗の伝承の考えと致しましては、お釈迦様は苦しい修行の後、阿弥陀様の誓願を知ったとされております。誓願とは人々を救い、極楽浄土に生まれ変わらせるという誓いです。事実、経典の中には、お釈迦様は自身の修行中に、阿弥陀様の誓願や極楽浄土についての啓示を得たとされているのです。この啓示を通じて、お釈迦様は阿弥陀様の存在とその教えについて知ることが出来たとされております。その啓示は阿弥陀様からのお声だったと確信されたのです。それ故、お釈迦様の仏教の先生(師匠)が阿弥陀様になられるのです。
 ただ、壮大な仏教の全容を一人の生きたお釈迦様という人物が描き切るには、超越的な想像力を持っても描き切れないでしょう。それはひとえに阿弥陀様からの働きによるものとしか考えられません。
 そして仏教が確立され、やがて人々に仏教が浸透していきましたが、当初は(原始仏教時代・仏教が出来たばかりの頃)には仏像というものがありませんでした。
 ではなぜ人々は仏像を作ったのでしょうか?世界で一番古い仏像は、諸説ございますが、現存する中ではインドのルンディアの仏像がその一つとして知られています。この仏像は紀元前5世紀頃のものであり、ガンジス川流域の古代インド文明に関連しているとされております。そして、仏教には仏像を作る理由がいくつかあると考えられています。
 まず一つ目は、敬意の表現として仏像に祈りを捧げ、崇拝を表現する手段です。仏のお力を目で見ることが出来ないもどかしさを、仏像という物体があることによって、信仰の対象として崇拝され、その前で祈りを捧げられる環境が整うのです。
 また次に、視覚的な教育として仏像は教化の手段としても機能します。絵や像を通じて、教義や教えが視覚的に伝えられます。特に文字の読み書きが出来なかった人が多かった時代においては、仏像を通じて仏教の教えや価値観が広まりました。
 更に、瞑想や参拝の心の集中に役立つとされております。仏像の静けさや穏やかな表情は、参詣者が心を落ち着かせ、内面の平穏を見つめるのに役立つのです。
 また別の角度を付け加えますと、仏像は芸術作品としても評価されます。多くの仏像は高度な彫刻技術や美的感覚を示しており、芸術家や彫刻家の創造性と技能を示すものとして重要です。
 総じて、仏教において仏像を作ることで信仰の対象としての役割を果たすだけでなく、教育や内面心理、芸術の面でも重要視しています。
 今は当たり前にある仏像ですが、古代の人々が仏教への思いを込めて作りだした仏像が、今も皆様を見つめお救い下さっておられることをお感じ下されば幸いです。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

*