令和5年 花まつり【臨時】お寺豆知識

甘茶かけ供養

 毎年4月8日は、仏教をお開きになったお釈迦様の誕生日とされる日です。その誕生を祝して「花まつり」という仏教行事が執り行われます。クリスマスが、キリスト教をお開きになったイエス様の誕生のお祝いの日ですから、「花まつり」は仏教版クリスマスと言えばわかりやすいでしょうか。しかしながら我々は仏教徒であるにも関わらず、「花まつり」はクリスマスのように世間一般にあまり受け入れられてはおらず、大方の人が知らないというのが現状でございます。
 愚僧も非力にて歯がゆいばかりですが、何とか浸透していくように日々努力している次第でございます。
 そして、泉福寺では4月8日の旧暦に当たる5月の第2日曜日に「花まつり」を行っております。そこで登場するのが「花御堂」や「甘茶」です。それ等をご説明するにはお釈迦様誕生の逸話を紐解く必要がございます。「花まつり」と呼ばれるようになったのは、お釈迦様が誕生された時、誕生地であるルンビニー園に一斉に花が咲き乱れていたことによります。その状況を表現する名残が小さなお堂を花で飾りつけした「花御堂」でございます。またお釈迦様の誕生の際、それを祝った龍が天から舞い降り、香油や甘露の雨を降らせたという神話から5色の香水や甘茶をかけることでお釈迦様の誕生を表現しているのでございます。
 お釈迦様の誕生月日については2500年以上前のお話ですから、諸説もございますし、定かでもありませんが、日本では花が一番美しい春たけなわの頃ですので、4月8日にお祝いするようになった事が定着していったのは当然の流れなのでしょう。ただ、お釈迦様が誕生した場所とされるルンビニー園は、現在のネパール南部にあり、釈尊生誕の地であることを刻したアショーカ王の石柱が出土した遺跡も発掘されておりますので、それは間違いがないようでございます。そしてお釈迦様がお生まれになった時の有名な言葉の「天上天下唯我独尊」です。
「この大宇宙にあって唯一我々人間だけにしかできない尊い使命がある。」その尊い使命を探し求めることこそが、お釈迦様の人生をかけて仏教を築き上げる旅となるのでございます。
 王子として裕福な生活をしていながら、29歳で出家し、苦行を続けた後、35歳で悟りを開いたとされるお釈迦様が、80歳で亡くなるまでの間、口伝での布教をされ続け一生を終えました。生まれて亡くなるまでの過程で、老いと病という二つの苦を体現したお釈迦様の一生が、人々の心に今でも教えとして受け継がれ、滅後2500年以上の年月が経ちながらも、仏教の法灯が絶えることなく続いている由縁なのだと思います。
 今年は久しぶりに世話人皆様と共に、甘茶の木から葉を摘むことから始まる手作りの「甘茶」を炊きます。長い年月の仏教法灯の象徴である「甘茶」に皆様も触れられてみてはいかがでしょうか。泉福寺玄関入り口でお分け致しております。お見えになられる際はペットボトル等の容器をご持参ください。お待ち申し上げます。

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